視神経から脳へと通う神経伝達物質の名は(ねこ×ピアノ)

(あー まったくもってボーっとする)
指を這わせるのをやめ、上半身を起き上がらせた。頬には汗がへばりついていて、気色が悪い。振り払うように手で拭って、また鍵盤に腕を置いた。乱雑に鳴る、その、音。
ねこはぐるりと首を回した。音がする。

一体何時間こうやって君と押し問答しているのか、自分はすっかりと忘れてしまった。押し付けるように体重を預けていた頬、が鍵盤の白さに影響されていないか気になって、また頬を引っ掻く。汗のせいでむず痒い。
一度立ち上がって水を飲み、また着席。ウーン。
人差し指の腹で、それを一本、抑えてみる。にぶくは鳴らず、酷く徹って音が鳴り、自分はなんだか眩暈がしそうな気分だった。額につたる汗が、通り越して手の甲に落ちる。気色悪い。腿の布で拭って、落ち着くように瞼を伏せた。
何をいったい、考えているのだろう。
自分は 人々が新曲を待ち侘びているような音楽家、ではないし…
何をこんなに、いったい。
無理せず考えなくとも良いのに、頭は脳は、自分の物語を奏でるのに必死だ。

何をそんなにいったい…ねこは睨むようにそれを捉えた。お前のいいとこは白と黒なとこだよなあ とか、思ったりする。彼女のあの、色素の抜けた、首筋を、思い出し、静かに欲情。