白い。眼に見えるもの全てが白くみえる時がある。常にはなかったが、多々あった。寝惚けている、と哲也は思っていたが結局見えていたのは魂魄で、見れば見るほど哲也は、
(頭が…)
痛い、と手のひらを顔面にやる。ぐぐ、と遠慮がちにそのまま前髪を握って引っ張った。いくら眼をこすっても消えない。たまらず、あ、と言った。俺だって死にたくなるときもある。ぼんやりと眼をやると続々と自分の周りにあつまってきて、おおい、と突っ込みそうになった。実際に突っ込まなかったのは声が出ないからである。出ない、と、出さない、の半々か。眼球の端々に映る死人どもがへらへらと笑っていて、うあー、と思った。頭痛と眩暈と、吐き気がする。冗談っぽく、おえ、と言った。冷や汗でもかいてるかな、と思い手のひらを見てみたがまったくそんなものは、微塵も、ない。
(…慣れんなや)
死人はさっさと消えろ。ここに在るのは皆々でいい。