めだまを真っ赤にして硬直している。瞼は開いたままで、そのまま微動だとしなかった。平均よりは図体のでかい男が、ふふ、と笑う。平均より図体の小さい男はまだそのままで。涙を流しはしない男の、瞼を落とすように上から下へゆっくりと手のひらをやってやり、ぽすん、とそのまま顔の上半分に置いた。瞼らへんにある肌があつい。海知 泣けよ、と大きな男が云う。海知は何も言わないし泣きもしない。雰囲気で、いやだ、と表したつもりだ。ばかだなあ、と思い、ばかだなあ、と言ってやった。海知の空気が震える。それでも何もしなかった。ただ黙って、男の手のひらを受け入れているだけで。もう一度、ばかだなあ、と言う。 「海知は こどもみたいだな」 云われて、その言葉を耳に入れられて、やっと、ぶるり、と身が震え、ようやく、ぼろっ、と涙が出た。鼻と眼があつい。 この男は見ているほうが涙が出るぐらいやさしい男なのに、と海知は思った。なのにこの男は自分たちと同様の人斬りで、そして自分たちの一番上の男だ。ふざけている。そんなことはありえないのではないか。なのに、なのにこの男が人を斬るときは涙が出るぐらい恐ろしい。 海知は心底いやになって、けれど何も言わなくて、ただ黙ったまま涙が出て。 ほんとうはぼろぼろと床に涙を落としてやりたかったが、男の手のひらがそれを邪魔する。 |